保存研究会 保存情報「CBC会館(中部日本放送株式会社本館)」(データ発掘)

(写真)現在のCBC会館外観 名古屋市認定地域建造物資産
CBC会館(しーびーしーかいかん)
(中部日本放送株式会社本館)
名古屋市内に現存する民間放送局社屋の内、最も歴史あるCBC会館は、昨年(令和7年(2025)12月)会社創立75周年を、そして今年(令和8年(2026)11月)は会館新築70周年の節目を迎え、様々な記念行事と番組制作が実施されている。
戦後日本の電波放送は、GHQによる民主化施策により電波三法(注1)の施行と共に、財界や民間企業からの篤い要望で広告収入を伴う民間放送の早期実現に期待が寄せられた。その後、東京・大阪・名古屋をはじめ日本全国でラジオ・テレビ放送の免許取得に向けて放送会社が設立される。
その内で日本最初の民間ラジオ放送局(注2)として開局したCBCは、聴取者からの反応を直ちに捉え、テレビ・ラジオを同一に兼営する民間放送を目指し地元財界の支援を受け、会館新築工事が急ピッチで進められた。現会館はその5年後に完成している。(建築年代参照)


戦後から脱却した当時は神武景気による高度経済成長へと向かう明るい時期であり、放送局という特殊用途の建築に際しても「設計監理」と「施工」の各分野で当時の英知が集約され建設された。(注3)
CBC会館は名古屋の中心地栄から広小路通を東へ、東新町から新栄町へ向かう「東てらまち」と繁華街の途中銀杏並木の通り南側に位置する。新築当初の建物外観は戦後の近代モダニズム建築に代表される横長連窓を連ねたシンプル且つ大きなボリュームある建物であった。その後縦方向に連なるカーテンウォールの外観に改造され現在に至る。また増築後の東側外壁には巨大な大理石モザイク壁画も設置され大きな特徴を成す。(注4)
誌面の都合上会館の詳細な記載はまた別の機会とするが、現在もテレビ・ラジオの番組制作のためのスタジオや公開放送のためのCBCホール等、放送局としての機能を満たす様々な用途を包括して使用されているところに今後文化財としての大きな価値が見出される事を期待する。(写真データは全てCBC提供)
注1:昭和25年(1950)6月1日 電波法・放送法・電波監理委員会設置法の3つが電波利用の民主化を目指し施行
注2:昭和26年(1951)9月1日 AM6:30よりCBC宇井 昇アナウンサーにより民間ラジオ本放送を配信(YouTubeのCBC公式チャンネル参照)放送コールサインは「JOAR」を取得、ラジオ放送免許第1号であったため三番目のAはアルファベット最初のAを割り当てられる 同日大阪でも新日本放送(現毎日放送・MBSラジオ)が開局、但し五時間半後の正午に本放送配信のためCBCが民間放送第1声となる
注3:他にスタジオ及ホール等の建築音響設計は、当時の建築音響の権威東北大学工学部電気工学科 二村忠元名誉教授が監修
注4:モザイク壁画は地元瀬戸市の画家北川民次氏による原画「芸術と平和」を基に、大理石モザイク使用に長けた画家矢橋六郎氏の下で制作
DATA
所在地:名古屋市中区新栄一丁目2番地8号
建物概要:鉄骨鉄筋コンクリート造7階・塔屋1階建、陸屋根、外壁吹付仕上一部大理石貼・アルミパネル張
建築年代:昭和31年(1956)/第1期新築(テレビ開局)、同34年(1959)/第2・3期増築(ラジオ局移転)、同48年(1973)/模様替(サッシ改装他)
設計監理:日建設計工務㈱(現 ㈱日建設計)
施工:㈱竹中工務店
野口 和樹(JIA愛知)
野口良一設計事務所


